極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「だけど、私は女の子しか愛せない。男の子に好意を寄せられても、すごく困るの。あんなごつごつした手で体に触れられるのなんて、絶対に嫌。体の中心に無駄なものをぶら下げているのも、美しくない」

 箱入り娘のまさかの発言。母が両手で顔を覆った。

「私は柔らかくていいにおいのする女の子が好きなの」

「そうだったんだ……全然知らなかった」

 そういう人たちに偏見はないつもりだ。

 別に誰を愛したっていいと思うけど、こんなに身近にいたということに驚いた。

「だって、必死で隠し通してきたもの。学校でばれていじめられたりするのもイヤだし。ママたちは古い人だから、私を変態扱いするだろうし」

 母は何も言わなかった。

 たしかに、両親とも昔ながらの古い人間なので、カミングアウトされても受け入れられず、むりやり精神科とか受診させそうなイメージ。

「でもね、裕ちゃんにだけは言えたの。彼は私の親友だから」

 羅良はもう一口、コーヒーを飲んだ。

「生きづらかった。高校生のとき、死んでしまおうって、思って。三階の音楽室の窓から飛び降りてしまおうかなってぼんやり考えていたとき、裕ちゃんが駆けつけて、話を聞いてくれたの」

 私と母は、息を飲んだ。

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