極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
「つ……っかれたああああぁぁ!」
ぼふっと目の前にあるベッドに、ドレスのまま倒れ込む。
なんと、両親は羅良のために、有名ブランドのウエディングドレスをレンタルではなく、買い与えていた。
私には、そんな高いもの買ってくれなかったのに。ちょっとひがむわ。
とにかく挙式披露宴を乗り越え、疲労困憊した私は、バッチリメイクのまま眠りそうになっていた。
ああ、焦ったなあ。披露宴の途中で羅良と共通の友人が「どうして希樹は来てないの?」なんて言うものだから。
「体調不良で」と言って笑うしかなかった。実は冷汗で背中がびっしょり濡れそうな勢いだった。実際にちょっと濡れていたと思う。
「なんとか今日は乗り越えたな」
裕ちゃんはため息をつき、椅子にどすんと腰を下ろす。
乱暴にネクタイを緩める姿が、やけにセクシーに見えて戸惑った。
本来なら裕ちゃんと羅良は、ここで新婚初夜を過ごすはずだった。
想像しそうになり、ぶんぶんと首を横に振る。
私ってば、姉と幼なじみで何を妄想しようとしているのか。
「帰り支度をしなきゃ。着替え着替え……」
シャワーを浴びて、着替えて家に帰ろう。
上体を起こすと同時、裕ちゃんが立ち上がった。