極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
久しぶりにフルコースを堪能して、夜道を裕ちゃんと並んで歩く。
マンションまで歩いて十分。タクシーを使うほどでもない。
「ほら」
裕ちゃんが手を差し出す。私はドキッとしたのを隠して、答える。
「誰も見てないから、いいんじゃない?」
「ダメだ。これは夫婦の約束なんだから」
出た、夫婦の約束。
躊躇していると、裕ちゃんは強引に私の右手をつかみ、指をからませる。いわゆる、恋人繋ぎだ。
出かけるときもそうだった。
『どこかに出かけるときは、必ず手を繋ぐこと』
それが星野家のルールらしい。
裕ちゃんと羅良が決めた、『星野夫妻ルール』は他にもこまごまとあるらしく、私を混乱させそうだ。
「家に帰ったら、風呂だな」
「どっちが先に入るとか、決まっているの?」
繋がれた手が汗ばむのが気になりながらたずねると、裕ちゃんはさらっと答えた。
「もちろん、毎晩一緒だ」
「い、一緒に!?」
ビックリして、飛び跳ねそうになってしまった。
子供の頃は混浴でもよかったけど、この歳になると辛い!
「なんてな」
私のリアクションを見て、裕ちゃんはクスクスと肩を揺らして笑った。
「か、からかわないでよ~!」
悪い冗談だよ、まったく。