極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
舞い上がっちゃいけない。最初からわかっていることなんだから。
この生活は、いつまでも続かない……。
「あ、あの」
羅良から連絡があったことを、二日経った今でも裕ちゃんに話せずにいる。
どんなことを話したかと突っ込まれると、非常に困るから。
もともと冗談とか嘘が苦手なキャラである自分が恨めしい。
でも、裕ちゃんも態度には出さないけど、羅良のことを心配しているに決まっている。
迷惑をかけているのだから、報告の義務があることもわかっている。
「あのさ……健ちゃんを追い払ってくれた日にさ……」
「うん?」
トーストをかじる裕ちゃんと目が合う。私はごくりと唾を飲み込んだ。
「羅良から、電話があったの」
時間が一瞬止まった気がした。
裕ちゃんは目を伏せてトーストをゆっくり咀嚼し、飲み込む。
「うん。なんて言っていた?」
いたって冷静な表情で、まるで世間話みたいなテンションで、聞き返される。
「事件じゃなくて、自発的失踪だったんだって。無事に、元気にしているって。声も、しっかりしていた」
「だろうね。事件性は低いと思っていた」
「居所とか聞いたんだけど、教えてくれなくて……ごめんなさい」
途中から混乱して、何も言い返せなくなった。