極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

 三時間後。私たちは森の中にいた。

「ちょうど昼に着いてよかった」

 裕ちゃんの車で向かったのは、マンションから来るまで二時間ほどの場所にある、とある渓谷。

 受付を済ませて、案内された先にあったのは……。

「うわあ可愛い!」

 玉ねぎ型の、白いテントだった。

 中をのぞくと、ベッドやソファ、テーブルが。

 外国の古い絵本の世界に迷い込んだような錯覚を起こさせる、調度品の数々。

「まるでホテルだな」

 裕ちゃんも、テントの中を見回して感嘆した。

 彼が言う通り、アメニティもホテル並みに充実している。

 電気も通っているようで、電気ポットまで置かれていた。

「いきなりキャンプに行こうなんて言いだすからビックリしたけど、なるほどこれなら荷物はほとんどいらないね」

 あのあと、裕ちゃんはどこかに電話し、こう言ったのだ。

「予約が取れたから、キャンプに行こう」と。

 キャンプなんて子供のとき以来で、私のテンションはこいのぼりくらい高く上がった。

「ラッキーだったな」

「うんうん。普通は当日予約なんて受け付けてくれないよ」

 ここは人気のグランピング施設らしく、いつもは予約でいっぱいらしい。

 土曜日の予約なんていきなり取れるわけないのだけど、ちょうどキャンセルが出たとか。

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