愛しい女(ヒト)
「………で?どんな女?」


驚いた顔をしたまま聞いてくるのは、本郷郁哉(ほんごう いくや) 飲食店経営している 37歳。

こいつとは大学生の時に出会ってからの付き合いで、一番信用できる友人だ。

郁哉も学生の時からモテていて、適当に遊んではいた。

それが30歳を迎えた頃、今の嫁さんに出逢ったのを期に女遊びを一切やめ、猛アタックをし続け2年ほど前に結婚した。

そんな郁哉を俺は羨ましく思っていた。
そういう相手が俺の前に現れてくれる時があるのだろうかと………


そして、見つけたんだ。


「可愛らしい感じ………でも、どこか儚くて、ある日 フって消えてしまいそうな感じに見えた。」


「お前が今まで付き合った女と真逆のタイプだなぁ」

そうなんだよな。学生の時に付き合っていた女達はどちらかというと派手で自己アピールが強い感じが多かった。

そんな話をしていると、店の扉が開く音がした。

「いらっしゃいませ……… あれっ?香保ちゃん。どうしたの?」

入ってきた客の対応をしている郁哉の方へ なんとなく俺も視線を向けて固まってしまった。

店に入ってきた客は………

俺が一目惚れした相手だからだ。
< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop