愛しい女(ﾋﾄ)
「いえいえ。藤倉さんはなにもしてないですよ。 うちの会社におみえになった時に、女子社員の中で、Ｎ社の人 かっこいい！誰？ってなって、ちょっとした騒ぎになってたので………」


マジかぁ。でも………全然嬉しくない。

まあその騒ぎのおかげで、彼女に覚えてもらったと思えば………悪く………はないな。

そう思っていると、


「そんな騒ぎになったんだぁ。 帰ったら杏に聞いてみよ～。 はい。お待たせ。キノコの和風パスタです。」


「わぁ。ありがとうございます。 いただきます。」


そういってパスタを食べ始めた彼女。おいしそうに食べるなぁ。


彼女が食べているのを邪魔したくないのと、何話しかけていいのかわからなくて視界に彼女を入れつつビールを飲んでいると、郁哉が彼女に話しかけていた。


「香保ちゃんが残業ってことは、杏も遅かったの？」


「杏さんは定時で帰りましたよ。私も定時で帰ろうとしたら仕事頼まれてしまったんです。」


そう言って笑っている彼女を見ていると、もっと近づきたい気持ちが溢れてくる。


しばらく郁哉と彼女の会話を聞いていると、食べ終わった彼女が席を立ちあがった。
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