幸せな結末
「きました」
朝陽たちが先に患者の病状を把握してからオペ室に患者が運ばれてきた。
麻酔科の医師がすぐに麻酔を始める。
オペ室の空気が張り詰めて、緊張感が高まる。
「脾臓の破裂と肺気胸、鎖骨が骨折していて折れた骨が肺に刺さっている状態です。」
先に検査していた看護師からの情報にこのオペがかなり厳しいものだと誰もが察する。
「呼吸の状態を保てないままのオペになりますので、時間との勝負です。」
急遽整形外科の医師も加わり手術することになった。

手術室に支度を済ませた朝陽が入ってくる。
その瞬間理恵と目が合い、一瞬朝陽の表情が変わった。
今日は理恵は非番で病院に行っていると思っていた朝陽はなぜ理恵がいるのか分からなかった。
「産婦人科による帝王切開術と外科による止血から始めます。」
「はい」
緊張感が最高潮に高まりオペが始まった。
理恵がオペ室に朝陽と入るのは外科で勤務していた時以来、数年ぶりだった。

理恵は外科でも産婦人科でもオペ経験も豊富だ。
思ったよりも厳しいオペの中、一人の患者の周りでさまざまな科の医師と看護師が混在していて術創が混雑する。
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