幸せな結末
赤ちゃんは酸素治療をはじめ少しずつ血色がよくなっていた。
「次はお母さんががんばる番ですよ?赤ちゃんのこと抱っこしなくちゃね。頑張って。」
その言葉にオペ室にいるスタッフの目つきが変わった。
絶対に助けたい。その重いがスタッフを一つにまとめた。

理恵は産婦人科の医師が子宮を縫合し終えると母親の枕元に座った。
心拍も落ちてきている。
理恵はけがしていないほうの手を握り話しかけ続ける。
その声に患者が少し反応した。

赤ちゃんの処置が終わりNICUに移動する前に理恵は赤ちゃんのうまれたばかりのほやほやの手を母の手に触れさせた。
「あなたの赤ちゃんですよ。あったかいでしょ?感じる?かわいい男の子。この子を抱けるように頑張ってあきらめないで。」
母親の心拍が少し回復を見せた。
理恵は赤ちゃんに話しかける。
「ママも頑張ってるから、あなたも頑張って。生まれてくれてありがとう。」
赤ちゃんは小児科のスタッフが連れていく。

「頑張れ。あきらめんな。」
朝陽も必死に処置を続けた。
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