幸せな結末
理恵が分娩室から出ると、そこには朝陽が待っていた。
「お疲れ」
そう言って微笑む朝陽。

理恵は小さく深呼吸をした。

そして微笑み返しながらそっとこぼれそうだった涙をふく。

この決断に後悔はしていない。

でもやっぱり、自分の長年の居場所だったところからの旅立ちは悲しみをまとっていた。

「よく頑張ったな。」
「うん。」
理恵は制服姿のまま朝陽のすぐそばまで近づく。

「朝陽。」
「ん?」
「今までありがとう。看護師としてここまでこれたのは朝陽が支えてくれたからだって思うの。」
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