幸せな結末
「本当に大丈夫か?」
朝陽が心配そうに聞く。
「大丈夫だって。」
理恵が玄関で朝陽にそう言い聞かせる。

理恵が仕事を退職してから2カ月がたち、朝陽は地方での学会に長期出張で行くことになった。
半月近い日程の出張。
朝陽は置いていく間の理恵が心配で断ろうとしていたが、朝陽の研究が認められた光栄な機会だと理恵はわかっているだけに全力で背中を押した。

「何かあったら早めに連絡しろよ?無理はしないように。何かあったら俺の両親に連絡したっていいんだからな?遠慮するなよ?本当に大丈夫か?」
「もう、大丈夫だって。半月でしょ?何かあったらちゃんと連絡するから」
理恵はそう言って朝陽にカバンを渡した。
さすがに荷物も大きかったためすでに現地へ送っていて手荷物は最低限しかない。
「行ってらっしゃい。」
理恵は朝陽の唇にキスをした。
「気を付けてね。」
「理恵もな。気をつけろよ?ちゃんとベッドで眠るんだぞ?腹冷やすなよ?飯、ちゃんと食べろ?薬忘れんなよ?」
「大丈夫だって!」
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