幸せな結末
それは朝陽と同じ外科に勤務する高沢裕子だった。

「大丈夫ですか?痛みは?」
まだ腹部が痛む。
「少し・・・。あの、私。」
「付属器捻転でした。」
「えっ?」
「卵巣が捻転していたので、右側の卵巣を摘出しました。」
その言葉に理恵の体に雷が落ちたかのような衝撃が走る。
しかも、その話を裕子からされるのがますますつらかった。

「5日ほどで退院できます。」
その後裕子から病状の説明を受けたが、理恵は何も頭に入ってこなかった。
ただでさえ不妊治療中の理恵。甲状腺ホルモンの状態から言っても、排卵障害が治り妊娠できる確率は極めて低い。それに加えて妊娠ができたとしても妊娠の継続もリスクが多きかったのに、片方の卵巣を失ったということはさらに妊娠の可能性が減った。

理恵の知識から考えても、子供を産むことができる確率は極めてゼロに近い。
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