幸せな結末
「外科医は男ばっかりだからな。いちを貴重な女外科医だから大切にされてるよ。」
「そう。」
朝陽と裕子の関係が気になりながら理恵は何も聞くことはできなかった。
不意に朝陽が理恵のお腹に手をまわしてきた。
理恵はそっと気づかれないようにその手を少しずらす。
「久しぶりだな。」
朝陽は理恵をそのまま抱きしめた。

傷はなくても朝陽は外科医だ。
直接手術をしたところに触れたら気づかれてしまうかもしれない。
理恵はそう考えながら朝陽を抱きしめ返した。

疲れていたのかそのまま眠ってしまった朝陽の寝顔をじっと見ながら理恵はその寝顔も目にやきつける。

そっとその頬に触れて静かに涙を流した。
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