幸せな結末
「そういえば、願い事、なんだ?」
朝陽が宗谷岬の景色を堪能したあと、不意に理恵に聞いた。

「私の願い事、聞いてくれる?」
「約束だからな。」
「ちょっと座らない?」
理恵の言葉に朝陽はすぐ近くにベンチを見つけ、二人はそのベンチに座った。

「どうした?」
話だしにくそうな理恵の顔を朝陽が覗き込む。

「朝陽。」
「ん?」
理恵はベンチからまっすぐ先に見える広大な景色を見ながら話し始めた。
「今まで私、朝陽の奥さんとして失格だった。」
「何言ってんだよ」
「忙しさ言い訳にして、いつも隣にいてくれて当たり前だっておもって、いろんなことおろそかにしてた。」
「それは俺だって同じだろ?」
朝陽は理恵の顔をじっと見る。
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