幸せな結末
「少しお腹が張ってますね?今、逆子かな?」
理恵の言葉に樹は湊を見る。
「さすがだな」
と湊が答えた。
まだ、勤務の初日。樹の状態を把握してから理恵は帰宅をすることになった。
「和田さんはいまお仕事されていないんですか?」
樹の言葉に理恵はぎこちなく笑った。
「実は離婚したんです。ずっと産婦人科や外科で働いていたんですけど、仕事が忙しくて家のことをおろそかにしてしまって。仕事を辞めてももう修復は不可能でした。仕事に復帰することを悩んでいたら湊が今回の話をくれたんです。」
理恵はそう言いながら、修復は可能だったかもしれない・・・。
朝陽は精いっぱい努力してくれた・・・。そんなことを思い出していた。
朝陽がどんなに努力をしてくれても、自分にはそんな朝陽に何も答えてあげることができない・・・。
そう思って離婚を決断したことは言えなかった。
「今回の役目が終わったら仕事に復帰するかどうするかを真剣に考えようと思っています。でも離婚手思った以上にエネルギーがいって。今は休憩中なんです。」
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