幸せな結末
ある日理恵が出勤しキッチンで朝食の片づけをしていると湊が樹と話をして照れ臭そうに頬を赤くして仕事へ出かけて行った。
学生のころから考えたら想像もつかないな湊の表情に思わず理恵が樹に話しかけた。
「湊のあんな顔初めて見ました。」
その言葉に樹も恥ずかしそうに目をそらした。
「いつも、どこか寂しそうなかげのある顔をしていたから」
「影のある顔?」
「私は湊と大学の時からの友達なんですけど、友達に対しても一定の距離をとりたがるような、時々本当に心から笑っているのかわからないような表情をしていたから」
「・・・」
「幸せそうな顔が見られてうれしいです。」
理恵の言葉に樹は理恵を見た。なにか聞きたそうにしている。
理恵は何が聞きたいかなんとなくわかるような気がして話始めた。
「実は私、子供が産めない体なんです。別れた旦那にはそのことが言えなくて。看護師として働いていたから自分の状況は自分が一番わかっていたんです。だからこそ旦那への気持ちがあるからこそ、離婚を決めました。旦那はきっと離婚の話をだせばまたやりなおせるって考えていたんだと思います。」
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