幸せな結末
「この公園は私の亡くなった婚約者との思い出の公園なんです。」
樹の言葉に理恵は樹を見る。
「彼とは大学で出会って、付き合い始めて、結婚式を目前にして彼が事故にあいました」
いつも無邪気でまっすぐな言葉を向けてくる樹の抱えている過去の大きさに理恵は黙った。
「私、彼のことが大好きでした。あの頃の私にとって彼は私の未来も過去も今もすべてでした。大好きで大好きで。」
「・・・」
「本当にある日突然だったんです。事故にあった日も普段通りに朝会社に出勤したんです。週末の結婚式の打ち合わせの話をしたり、夜ご飯はオムライスがいいってリクエストされたり。本当に当たり前の朝を迎えて当たり前に会社に出勤していったんです。」
「・・・・」
「私は彼が事故にあった瞬間もいつも通りに仕事をしていて、合間に週末の結婚式の打ち合わせで決める招待状の発送リストの確認をしていました。」
「・・・・」
理恵は樹が抱えている悲しみが見えるようだった。
「夕方携帯の着信で私は彼が事故にあったことを知ったんです。私はまだ彼と結婚していなかったから彼の両親からの連絡でした。」
「・・・」
「私、何度も後悔したんです。」
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