幸せな結末
理恵の体を気遣っていたのはもとからの病気を気遣ってだけじゃなかったんだ・・。
朝陽は理恵が手術をしたことに気が付いていたんだ。だから休憩をふやしたり、手術のあとが痛まないように体を冷やさないように気遣ってくれていたんだ。
「わかってたの・・・?」
再び泣き顔になる理恵を朝陽はそっと抱きしめた。
「理恵が考えてることわかってた。だからこそ、俺が止めても、離婚を拒否しても、あの時の理恵は傷ついただろ?悩んで、自分を責めて、悲しんで、前に進めないまま俺を見るたびに罪悪感に襲われる。そんな気がしたんだ。」
朝陽は理恵が考えていたことすべて、分かっていた。

だからこそ、離婚の話を切り出した理恵に、離婚したくないと言えなかった。
言わなかったんじゃない。言えなかったんだ。

理恵は自分が思っていた以上に朝陽が自分をわかり考えていてくれたと気づいた。

「ごめん。。。ごめん朝陽・・・。ごめんね・・・」
朝陽の胸のなかで涙を流す理恵を朝陽は強く抱きしめながら背中をさする。
「俺こそ、うまく支えられなくてごめん・・・。」
二人はしばらくそうして抱き合っていた。
< 186 / 280 >

この作品をシェア

pagetop