幸せな結末
理恵がしているネックレスは朝陽が昔プレゼントしたものだった。
「うん」
「まだあったんだ」
照れる朝陽に理恵は笑った。
「もちろん。朝陽からのプレゼントはちゃんととってあるよ。」
そう言ってから理恵は結婚指輪のことを思い出した。

見ることがつらくて結婚指輪は棚の奥に結婚式の写真や思い出の品と一緒にしまってある。

朝陽は結婚指輪、どうしたのだろうか・・・。
もとから外科医で指輪を外すことも多いからとつけていなかった朝陽。

それでも離婚をするときに荷物の中に朝陽の分の指輪を入れて送ってある。

ふとそんなことを考えていると、このまま自分たちはどんな未来をたどるのだろうかと不安になった。

朝陽はそんな理恵の気持ちを知ってか知らずか、今までは具合の悪い日以外はつなぐのを嫌がっていた手をずっと繋いでいる。
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