幸せな結末
朝陽は理恵の妊娠が分かってからかなり過保護になった。
朝陽が仕事の日も一日に何度もメールや電話がかかってくる。

奇跡的に授かった子供。理恵も無理だけはしないように心掛けている。

妊娠初期はつわりがひどく、週に一度は理恵は点滴をしに産婦人科へ通っていた。
その通院に合わせて朝陽は自分の勤務を調整していた。

「よし、行こうか」
朝陽がそう言って理恵の両手をひいてソファから立ち上がるのを手伝う。
「約束覚えてる?」
「わかってるよ。」
理恵が朝陽を見ると朝陽はあきれたように微笑んだ。
「絶対だからね?」
「はいはい。わかってるよ。ほら、行くぞ。」
朝陽が荷物を持ち、反対の手で理恵の手を握る。
階段を降りるときも朝陽は理恵の方を振り向き手を支えながら守ってくれる。
その感覚がうれしくて理恵は思わず微笑んだ。
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