幸せな結末
「ちょっと・・・くらくらする・・・」
理恵の言葉に朝陽は理恵の顔色を見る。
すぐにナースコールを押し、看護師を呼んだ。
「脳貧血起こしてるようです。」
朝陽の指摘に看護師が血中の酸素量をはかる。

「酸素つけましょうか」
こういう時医者が夫だとすぐに対処できていい。

理恵は酸素マスクを着けてもらい、いよいよ分娩室へ移動することになった。

ふらふら足元のおぼつかない理恵は車いすに乗り、朝陽の押してもらいながら分娩室へ移動する。
「すぐ用意してくるから。」
朝陽も立ち会うための用意をしにいちど分娩室を出た。

理恵は分娩室の天井を見つめた。
夢にまで見ていた瞬間がすぐそこまで迫ってきている。

自分が母親になるという思いよりは、朝陽にやっと赤ちゃんを抱かせてあげられるという期待の方が大きかった。
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