幸せな結末
「理恵、いますか?」
今朝体調が悪そうだった理恵が心配で産婦人科の病棟を訪ねると理恵の同期の智子がナースステーションにいた。
「ちょっとはずれてます。今。」
「?」
予感が的中して体調不良かと一気に心配になる。
「患者のことでちょっと。」
智子の表情でなにか患者のことでうまくいかないことがあったか、すぐに飲み込めない状況があると理恵は昔よく屋上に行っていた。
もしかしたら屋上にいるかもしれないと俺はすぐに病院の屋上に向かっていた。

一緒に外科で勤務していた時も、誰かが亡くなったり、思う結果が出なかったとき理恵はよく屋上にいた。そのたびに俺の胸で泣いたり、一緒に空を見上げて気持ちを分かち合い、お互いにもう一度前を向いて歩けるように・・・大切な時間を過ごした。

もしかしたらまた屋上にいるかもしれない。
そんな期待をして屋上へ向かう。重いドアを開けて理恵の姿を探す。




でもそこに理恵の姿はなかった。
< 262 / 280 >

この作品をシェア

pagetop