距離感
「おはよう」

要(かなめ)さんが会社に来たのは、９時半だった。

真っ青な顔をしていたので。

すぐさま、香川さんが「大丈夫なの？　顔色が悪いわよ」と駆け寄った。

「大丈夫、大丈夫」

「無理しないでよ。医務室行ったほうがいいんじゃない？」

香川さんは要さんを娘のように可愛がっている。

その可愛がりようが、本当の親子のようだ。

「大丈夫だよー」

香川さんに微笑んで。要さんは椅子に座った。

が、次の瞬間。机に突っ伏した。

（はぁ！？）

座った瞬間。彼女は眠りに落ちたのだった。

「あの・・・香川さん」

小さい声で助けを求めると。

「ああ、あかりちゃんはそのままにしておいてちょうだい」

香川さんの言葉に呆れると同時に。

怒りがこみあげてきた。

目の前で寝ている人と給料が同じ・・・。
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