距離感
時刻は14時過ぎだったと思う。
資料を整理したり、ファイリングしていたら。
ドアの向こうから、「きゃー」という女の人の悲鳴が聞こえて。
「誰か、来てくれる!?」
次にそんな声が聞えた。
何だ、何だと近くにいた人たちがドアを開けてエレベーターまでの通路へ向かう。
私もそろそろと声のほうまで向かった。
てっきり、ネズミか虫でも出たのかと思った。
ちょうど、エレベーター近くに人だかりが出来ていて。
「大丈夫、ねぇ?」
と声をかけている人がいる。
見ると、そこにいたのは。
ぐったりと倒れ込んだ要さんと。
要さんに声をかける香川さんだった。
ビックリして固まっていると。
近くにいた男の人が、要さんをお姫抱っこした。
それが、すぐに王子だと気づいた。
「医務室まで運びます。香川さんもついてきてもらえますか」
「勿論」
羞恥を感じることもなく。
軽々と要さんをお姫様抱っこして歩き出す王子。
その瞬間、本当にスローモーションになったのではないかというくらい。
時間が小刻みになった。
目の前を王子が通り過ぎていく。
その時、抱きかかえられた要さんは目を開けて。
ニヤリと王子の顔を見て笑ったのだ。
そしてすぐさま目を閉じた。
「ぁ…」
声が出なかった。
資料を整理したり、ファイリングしていたら。
ドアの向こうから、「きゃー」という女の人の悲鳴が聞こえて。
「誰か、来てくれる!?」
次にそんな声が聞えた。
何だ、何だと近くにいた人たちがドアを開けてエレベーターまでの通路へ向かう。
私もそろそろと声のほうまで向かった。
てっきり、ネズミか虫でも出たのかと思った。
ちょうど、エレベーター近くに人だかりが出来ていて。
「大丈夫、ねぇ?」
と声をかけている人がいる。
見ると、そこにいたのは。
ぐったりと倒れ込んだ要さんと。
要さんに声をかける香川さんだった。
ビックリして固まっていると。
近くにいた男の人が、要さんをお姫抱っこした。
それが、すぐに王子だと気づいた。
「医務室まで運びます。香川さんもついてきてもらえますか」
「勿論」
羞恥を感じることもなく。
軽々と要さんをお姫様抱っこして歩き出す王子。
その瞬間、本当にスローモーションになったのではないかというくらい。
時間が小刻みになった。
目の前を王子が通り過ぎていく。
その時、抱きかかえられた要さんは目を開けて。
ニヤリと王子の顔を見て笑ったのだ。
そしてすぐさま目を閉じた。
「ぁ…」
声が出なかった。