嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
おそらく2度目の電話。


オレからだって分かって出ないという可能性もある。


しかし、オレは諦めない。


オレは、今、星名の話を聞いてあげたいんだ。


百合野の次でもいい。


オレを頼ってほしい。


それがオレの存在異義でもあるから。


オレは星名にミスターコンテストの結果を言えていない。


後から知らされたのだが、オレは3位の白鷺と10票差の4位だったんだ。


グランプリには届かなかったが、改めて感謝の気持ちを伝えたい。


お願いだ。


出てくれ。


しつこくコールすること、約30回目。



「もしもし、星名です」



星名は出てくれた。



「もしもし、青柳です。ごめん、しつこく鳴らして」


「はい。かなりうるさかったです」



至って真面目なトーンで話す星名。


やっぱり元気はない。


といってオレもめげている場合ではない。


やるべきことをやるんだ。



「あのさ、星名」


「わたしは今日のことについてお話しするつもりはさらさらございません。それに、あまり長く青柳くんとお話をしていると、そのぉ...えっと...」


「オレと話すことがなんか問題でもあるのか?」



星名は黙ってしまった。


黙ったということは図星だ。


さっきもそうだった。


星名は核心を突かれると黙ってしまうのだ。


...オレと話すことが問題。


つまり、オレと星名の関係が気に入らないヤツがいて、星名に攻撃して来たと考えるのが妥当だ。


なら、本当に...。


本当に、汐泉、なのか?


もやもやしたまま明日を迎えたくない。


聞こう、はっきりと。


真実をしっているのは、星名しかいないのだから。



「単刀直入に聞く。星名...お前をいじめた犯人は.........汐泉、なのか?」



スマホの向こうから、聞こえてくる微かな息遣い。


笑っているのか、泣いているのか分からない。


オレは待った。


星名の口から真実が語られることを。


待つこと、およそ1分。



「青柳くんは...わたしが何を言っても、わたしを信じてくれますか?」


「当たり前だ。オレは...星名の友だちだから」



星名が必死に呼吸を整えようとしているのが分かる。


オレは緊張感で額から汗が吹き出して来た。


もしかしたら、ミスターコンテストの結果発表の時よりも緊張しているかもしれない。


なぜなら、


オレは星名が話す内容によっては、選択しなければならないからだ。


汐泉か、


星名か。


そして、その時は来た。



「わたしは...いじめられ...ました」



オレは息を飲んだ。



「...一條さん、畠山さん...そして......」



スマホを持つ手が震え、力なく右手を振り下ろし、天井を見上げた。


左目から一粒の涙がこぼれ落ち、畳に染みた。



「.........真砂汐泉さん」
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