嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
ブーブーブーブー...。


スマホの音で目が覚めた。


わたしは基本的にスマホの目覚まし機能は使わないから、きっと電話だ。


一体、誰からなんだろう。


今は、そんな気分ではないのに。


一旦無視をするものの、一向に止む気配がない。


仕方なく、スマホまで這っていき、画面を見る。


あっ...。


わたしは出るかどうか3コール間悩み、結局出た。


「もしもし、星名です」


「もしもし、青柳です。ごめん、しつこく鳴らして」


「はい。かなりうるさかったです」



正直、青柳くんであってもかけてきてほしくなかった。


今はそっとしておいてほしい。



「あのさ、星名」


「わたしは今日のことについてお話しするつもりはさらさらございません。それに、あまり長く青柳くんとお話をしていると、そのぉ...えっと...」



青柳くんの話を遮ろうとして失敗した。


探りを入れられそうなことをわざわざ言ってしまった。



「オレと話すことがなんか問題でもあるのか?」



わたしは口を閉ざした。


黙ると逆に怪しまれると分かっているのに、なぜ黙ってしまったのだろう。


今からでも遅くない。


何か言わなきゃ。


そう思っていたのに、彼は先手を打ってきた。



「単刀直入に聞く。星名...お前をいじめた犯人は.........汐泉、なのか?」



気付かないわけがないか。


黙っていても、やはりいつかはバレてしまうもんなんだ。


あーあ...。


ほんと、ずっぎょーん、だよ。


なんて言ってる場合でもない。


もう、立ち直れないよ。


涙を堪えようとして激しく呼吸をしたら胸が苦しくなった。


そして、それと同時に、話したら楽になれるという嬉しさがこみ上がってきた。


青柳くんはわたしの言葉を待っていた。


待たせること、およそ1分。


わたしは覚悟を決めた。



「青柳くんは...わたしが何を言っても、わたしを信じてくれますか?」



同時に青柳くんの覚悟も確かめる。



「当たり前だ。オレは...星名の友だちだから」



そうですね。


友だち、ですね。


なら、絶対に...


絶対に真砂さんを裏切ったらダメですよ。


最後まで彼女を信じてあげてください。


彼女の手を離さないで下さい。



わたしは必死に呼吸を整えた。


何度も深呼吸をする。


緊張のあまり手が震える。


落ち着け、湖杜。


大丈夫。


自分を信じて。



わたしは目を閉じた。


そして、その時は来た。



「わたしは...いじめられ...ました」



青柳くん...


ごめんなさい。


でも...言いますね。



「...一條さん、畠山さん...そして......」



サッという音が聞こえた。


スマホの向こうに人の気配を感じない。


切れてないけど、耳を離したのは確かだ。


きっと、全てを悟ったんだろう。


泣いてる、かな?


泣いていても、今のわたしには青柳くんにしてあげられることは1つもない。


ただ、謝るだけ。


ごめんなさい。


青柳くんを悲しませて、


笑顔に出来なくて、


ごめんなさい。


わたしは...トドメを刺す。



「.........真砂汐泉さん」
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