嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
翌日。
オレは昨日と同じ場所にやって来た。
星名はまだ来ていないようで、オレは弁当を広げ、食べ始めた。
一緒に食べ始めるとまた色々言われかねないから先手を打ったのだ。
オレが半分くらい食べ進めたところで星名が登場した。
「遅れてしまい申し訳ありません。次の時間、体育だったので着替えてから来たんです」
「あれ、弁当は?」
「午後からの体育で重くなって動けなくならないよう、食べません。ですので、青柳くんが食べている間に、園田さんと白鷺くん、くっつけ大作戦の次の作戦を私から発表します」
星名はそういうとジャージのポケットから紙切れを取り出した。
「何だよ、それ」
「これは文化祭のお化け屋敷のチケットです。3年1組と2組の合同チームで行うらしく、これにお二方で参加していただこうと思いましてチケットを取りました」
「へぇー。先行発売的な?」
「予約です。毎年お化け屋敷の類いは人気のため、どのくらいの人が来るのか事前に調査してお化け屋敷の内容を考えるそうです」
3年にもなるとやはり文化祭を分かってきて良いアイデアが思い付くようにもなるみたいだ。
オレたちはまだフードメニューを決められず、居残りになっているというのに。
さすがだ。
そして、それにいち早く気づいて行動する星名にも拍手だ。
オレの代わりによくやってくれている。
「そして、今日から胸キュン告白の練習を白鷺くんにもしていただくことに致しました。相手役は、わたしと園田さんが1日交代で放課後に30分ほど行います。それでお二人の時間を共有し、少しでも園田さんのお気持ちが届けば良いなと思い、提案させて頂いたのですが...よろしいですか?」
「もちろん、OK。サンキュ、星名」
「いえいえ、当然のことです」
星名はいつものように笑っていた。
特に変わった様子もなく、大丈夫そうで安心した。
そうこうしているうちにオレは弁当を平らげた。
「それでは、本日のお題を発表します!」
運命の瞬間...。
オレは唾をのみこんだ。
「本日のお題は...転校生への告白、です」
「転校生?!」
「シチュエーションとしては、自分のクラスに転校生がやってきて一目惚れしてしまい、半年が経過しようとしている。そろそろ告白しないと他の男に取られてしまうかもしれない。さあ、どのように告白しますか?といった感じです」
オレは思った。
まるでこのシチュエーションは...。
「星名のことじゃん、これ」
「はい、似てますよね。最初は想像しやすい方が良いかと思ってこれにしました。ちなみに相手の女性の名前は全て光蘭からとって蘭さんになるそうです。赤星くんから聞いたので確かな情報です」
「だから、星名を蘭と呼べばいいんだな」
「はい、そうです」
「わかった」
「思い付いたらどんどん話しかけて下さいね。それでは...スタートです」
オレはひとまず星名の方に体を向けた。
転校生に一目惚れ、か...。
うーん。悩ましいなぁ。
オレにとっては確実にあり得ないことだからな。
ダメだ、波琉。
きちんと想像するんだ。
オレは最大限に考え、答えを出した。
「あのさ、蘭」
「はい、なんでしょう」
「今日、放課後予定ある」
「いえ、特には...」
完璧に蘭になりきっている星名と棒読みのオレ。
自分の演技力の無さにがっかりする。
もっと感情を込めないと...。
「放課後、中庭で待ってる。大事な話だから、絶対来て」
告白ってこんなにも緊張するのか。
朱比香も汐泉もよくやったもんだ。
...なんて呑気なことを言っている場合ではない。
続けなくては。
「はい、放課後になりました」
「ええっと、その...来てくれてありがとう」
「いえ。それより、大事な話って何ですか?」
「その...えっと...」
回りくどい言い方は止めよう。
ストレートに行くんだ。
「蘭さん。オレはあなたが...好きです!転校してきて壇の中央に立ったあの日に一目惚れしてずっと好きなままです。良ければオレと...付き合って下さい」
オレは右手を差し出した。
どうか、この手を握ってくれますように...。
「はい。よろしくお願いします」
星名がオレの手を握ってくれたところで、試合終了。
「どうだった?」
「ストレートに告白するのは有りだと思いますが、もう少しキュンゼリフを言っていただかないと、ポイントが稼げないかと...」
「そっか」
なんか、思ったよりへこむ。
自分の恋愛スキル不足を突きつけられているみたいなのだ。
ああ、こんなことならもっと幼い頃から恋愛しとけば良かったな。
何事も経験だからな。
「これは経験を積み重ねれば絶対上達します。めげずに明日も頑張りましょう」
「ああ。よろしく」
オレは弁当箱を持って立ち上がった。
誰にも見られぬよう、別々に教室に戻ると決めているため、今日はオレから帰らせてもらう。
「んじゃ、また明日」
オレがそう言って立ち去ろうとすると、
「あの...」
星名が呼び止めた。
いつもより顔がひきつっている気がする。
「どうした?」
星名は答えない。
「星名...」
「いえ、やっぱり何でもありません。先に行ってください」
「わかった。じゃあな」
「また明日」
オレは昨日と同じ場所にやって来た。
星名はまだ来ていないようで、オレは弁当を広げ、食べ始めた。
一緒に食べ始めるとまた色々言われかねないから先手を打ったのだ。
オレが半分くらい食べ進めたところで星名が登場した。
「遅れてしまい申し訳ありません。次の時間、体育だったので着替えてから来たんです」
「あれ、弁当は?」
「午後からの体育で重くなって動けなくならないよう、食べません。ですので、青柳くんが食べている間に、園田さんと白鷺くん、くっつけ大作戦の次の作戦を私から発表します」
星名はそういうとジャージのポケットから紙切れを取り出した。
「何だよ、それ」
「これは文化祭のお化け屋敷のチケットです。3年1組と2組の合同チームで行うらしく、これにお二方で参加していただこうと思いましてチケットを取りました」
「へぇー。先行発売的な?」
「予約です。毎年お化け屋敷の類いは人気のため、どのくらいの人が来るのか事前に調査してお化け屋敷の内容を考えるそうです」
3年にもなるとやはり文化祭を分かってきて良いアイデアが思い付くようにもなるみたいだ。
オレたちはまだフードメニューを決められず、居残りになっているというのに。
さすがだ。
そして、それにいち早く気づいて行動する星名にも拍手だ。
オレの代わりによくやってくれている。
「そして、今日から胸キュン告白の練習を白鷺くんにもしていただくことに致しました。相手役は、わたしと園田さんが1日交代で放課後に30分ほど行います。それでお二人の時間を共有し、少しでも園田さんのお気持ちが届けば良いなと思い、提案させて頂いたのですが...よろしいですか?」
「もちろん、OK。サンキュ、星名」
「いえいえ、当然のことです」
星名はいつものように笑っていた。
特に変わった様子もなく、大丈夫そうで安心した。
そうこうしているうちにオレは弁当を平らげた。
「それでは、本日のお題を発表します!」
運命の瞬間...。
オレは唾をのみこんだ。
「本日のお題は...転校生への告白、です」
「転校生?!」
「シチュエーションとしては、自分のクラスに転校生がやってきて一目惚れしてしまい、半年が経過しようとしている。そろそろ告白しないと他の男に取られてしまうかもしれない。さあ、どのように告白しますか?といった感じです」
オレは思った。
まるでこのシチュエーションは...。
「星名のことじゃん、これ」
「はい、似てますよね。最初は想像しやすい方が良いかと思ってこれにしました。ちなみに相手の女性の名前は全て光蘭からとって蘭さんになるそうです。赤星くんから聞いたので確かな情報です」
「だから、星名を蘭と呼べばいいんだな」
「はい、そうです」
「わかった」
「思い付いたらどんどん話しかけて下さいね。それでは...スタートです」
オレはひとまず星名の方に体を向けた。
転校生に一目惚れ、か...。
うーん。悩ましいなぁ。
オレにとっては確実にあり得ないことだからな。
ダメだ、波琉。
きちんと想像するんだ。
オレは最大限に考え、答えを出した。
「あのさ、蘭」
「はい、なんでしょう」
「今日、放課後予定ある」
「いえ、特には...」
完璧に蘭になりきっている星名と棒読みのオレ。
自分の演技力の無さにがっかりする。
もっと感情を込めないと...。
「放課後、中庭で待ってる。大事な話だから、絶対来て」
告白ってこんなにも緊張するのか。
朱比香も汐泉もよくやったもんだ。
...なんて呑気なことを言っている場合ではない。
続けなくては。
「はい、放課後になりました」
「ええっと、その...来てくれてありがとう」
「いえ。それより、大事な話って何ですか?」
「その...えっと...」
回りくどい言い方は止めよう。
ストレートに行くんだ。
「蘭さん。オレはあなたが...好きです!転校してきて壇の中央に立ったあの日に一目惚れしてずっと好きなままです。良ければオレと...付き合って下さい」
オレは右手を差し出した。
どうか、この手を握ってくれますように...。
「はい。よろしくお願いします」
星名がオレの手を握ってくれたところで、試合終了。
「どうだった?」
「ストレートに告白するのは有りだと思いますが、もう少しキュンゼリフを言っていただかないと、ポイントが稼げないかと...」
「そっか」
なんか、思ったよりへこむ。
自分の恋愛スキル不足を突きつけられているみたいなのだ。
ああ、こんなことならもっと幼い頃から恋愛しとけば良かったな。
何事も経験だからな。
「これは経験を積み重ねれば絶対上達します。めげずに明日も頑張りましょう」
「ああ。よろしく」
オレは弁当箱を持って立ち上がった。
誰にも見られぬよう、別々に教室に戻ると決めているため、今日はオレから帰らせてもらう。
「んじゃ、また明日」
オレがそう言って立ち去ろうとすると、
「あの...」
星名が呼び止めた。
いつもより顔がひきつっている気がする。
「どうした?」
星名は答えない。
「星名...」
「いえ、やっぱり何でもありません。先に行ってください」
「わかった。じゃあな」
「また明日」