嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
「わぁ...!」



ずっぎょぎょーーん!


わたしはあまりの美しさに目を奪われ、歓声を上げてしまった。


ミスコンに初めて出場する1年生の中には、びっくりし過ぎて声が出ない人もいた。


そんなわたしたちとは裏腹に、慣れっこのお三方、たしか...DP3さんたちは、コツコツとリズム良く軽快な音を鳴らしながら中に入っていった。



「さあ、彼女たちに続いて。1人につき担当は3名付くから。皆、気負わずにリラックスして好きなドレスを選んでね」


「はいっ!」



ぴかぴかの1年生には、同じくらいぴっかぴかのお部屋が似合う。


もちろん、DP3さんたちもこの部屋に来ると輝きを増す。


それなのにわたしは...


わたしだけが、ブスなまま。


がっくりと肩を落とし、中に入れないでいると、後ろから声を掛けられた。



「こーとちゃん」



声の主は赤星くんだった。


なんだか、この部屋のお陰で、より一層美しく輝いて見える。



「ことちゃんには俺が付くよ。もう、似合いそうなドレスは選んであるんだ」


「えっ...。そうなんですか?!」


「ことちゃん、きっと緊張してなかなか決められないと思ったから」



なんて気が利く人なんだろう。


わたしの性格を見抜いて適切な行動を取っている。


さすが、生徒会長様です。



「さあ、行こうか」



赤星くんが隣に回り、さりげなくわたしの肩に手を乗せる。


わたしが驚いてぴくっとすると赤星くんはふふっと上品に笑った。



「そんなに驚かなくても...。だって」



赤星くんは開けたばかりの大きな扉の先にわたしを誘導し、そのまま壁に身体を持っていかれ、赤星くんの両手で囲われる。


これってもしかして...


壁ドンッ?!


ブームは終わったんじゃなかったの?


まだ主流?


というより、


どうして、


どうしてわたしが、


壁ドンされちゃってるのぉ?



「あのあの、赤星くん」


「キミが好きだから、俺から離れないようにしてるだーけ」


「それは分かったので、早く衣装を...」


「ことちゃん、予想通りの鈍感さんだね」


「ほぇ?」


「ううん。なんでもない。早く行こうか。俺も早く...したいし」
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