嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
赤星くん宅からの帰り道。


赤星くんが送ってくれるというのを断固拒否した園田さんとわたしは並んで歩いていた。



「ことちゃん、あんなやつ助けなくても良かったのに。恐ろしい男だよ、アイツ」


「愛に執着しすぎるという点では、確かに恐ろしいと思います。でも、誰しも誰かから愛されたいと思うのではないでしょうか」


「ま、そうかもしれないね。実際、あたし、愛に飢えてるもん」



愛に飢えてる...か。


わたしはどうなんだろう。


他人のことには首を突っ込むくせに自分のこととなるとさっぱり分からない。



「そう言えば、どうしてわたしの居場所が分かったんですか?今日来るはずでもないのに...」


「朱比香から連絡あって、2人がいなくなったからもしかしたら...って。いやあ、本当に危なかったよ。もう少しで一線を越えるところだったんだから」


「一線を越える...?」


「あんなことあったのにまだ分からないの?」



わたしはうんうんと頷いた。


園田さんは呆れ顔で、



「そのままのことちゃんで居てね。でも、ある程度警戒心は持つこと。男は狼だからね」



ほぇ?


男イコール狼。


だから、襲われる、なのか!


ようやく分かりました!


男性は夜になると狼になってしまうんですね。


なるほどなるほど。


じゃ、遠吠えとかしちゃったりするのかな。


聞いてみたいな、遠吠え。


わおーーん!



「あのさ、ことちゃん」



わたしが1人で狼の妄想に耽っていると、急に園田さんが真剣な声音で話し出した。



「どうかなさったんですか?」


「あのね、あたし...好きな人が出来たの」


「えっ...そうなんですか?」



わたしは驚いて前につんのめった。


小石があったら、引っ掛かって転んでいただろう。


ドジしなくて良かった。


けど、園田さんの恋の相手は誰なんだろう。



「ことちゃん、知ってるかな?1年でミスターコンテストに出る、白鷺未悠って子なんだけどすっごく可愛くてかっこよくて...もう、ドタイプなんだよね」



園田さん、恋する乙女の目をしてる。


微かに頬も紅潮していてとても可愛らしい。


いつもは頼れるアネゴって感じだけど、こういう乙女な園田さんも輝いていて素敵だな。


色々な魅力を持ってるってすごいなぁ。



「園田さん」


「なあに?」


「わたし、全力で応援します!絶対、園田さんの恋、実らせましょう!」


「うん!頑張る!あたしだって幸せになる権利あるんだから!」



わたしたちは笑顔で恋の成就を祈った。
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