嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
そんなことを考えて走っていたからだろう。


バチが当たった。



―――――ドスンッ。



わたしは派手に転んだ。


いつか畠山さんとぶつかった、あの場所で。



「あらぁ、ごめんなさいね」



顔を上げるとそこには...


自分がいた。



言葉を失った。


思考が止まった。


心臓も一瞬止まった。


わたしがゆっくりと近付いてくる。


止めて。


来ないで。


来ないで。


お願い...来ないで!



声が、出ない。


立ち上がろうとするわたしの腰にわたしの足が乗る。


わたしを潰しに来たの...?


わたしを殺しに来たの...?


誰か...


誰か...


助けて。




―――なんて、


―――言わない。




「久しぶり。こーとちゃん」



この声、


この話し方、


この吐息...。


わたしの心臓に伝わってくる上からの圧力、温度。


あぁ、


あの人だ。


選ばれた方の...


わたし。



「ずいぶん元気そうじゃない?逆に生きが良すぎるくらい」



ふふふと笑う、もう一人のわたし。


ぐりぐりと腰を踏みつける。


痛い。


痛い。


痛い...よ。


これは、


これは、


敗北者の痛み。



「ちょっと生きが良すぎちゃうから、セーブしに来たのよ。噂によれば、あなた、人のカレシを横取りしたり、人の恋を邪魔したりしてるみたいじゃない。そんな、さいってーな子にはお仕置きしないとね!」


「おねえ...ちゃん」


「あんたにお姉ちゃんなんて呼んでほしくない!男たらしのあんたと瓜二つの顔に産まれたことを憎むわ!あんたなんか、居なくなればいい!人の邪魔ばかりするヤツは、幸せになる権利なんてない!」



わたしは徐々に気を失っていった。
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