嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
家に帰ると、青柳くんが言っていた通り、水槽とホースが届いていた。



「おい、湖杜!波琉からこんなの届いたんだが、魚でも飼う気か?俺は仕入れてる魚しか調理しないからなー」


「大丈夫。魚は飼わないから」



わたしはそれだけ言うと、店の前に水槽とホースを出し、外の蛇口にホースを繋ぎ、水を溜めた。


しかし、大変重大なミスを冒したことに気付く。


ずぎょ。


りんごが...ない...。



「お父さん、りんご買ってくる」


「は?りんご?店が始まる前には帰ってこいよ!」


「はーい」



仕方なく、帰ってきた道を逆戻りする。


りんごか...。


よくよく思い返せば、りんごジュースで大事件を引き起こしたんだ、わたし...。


青柳くんの誕生日にりんごジュースと間違えてビールを飲ませるという大失態を冒し、その後...。


これだから、姉に男たらしと言われるんだ。


確かに反省の余地はある。


これからは男性と極力関わらず、男性を好きにならず、男性に頼らずに生きていこう。


そうすれば誰も傷付かずに済む。


そう、全てわたしが悪いんだ。


わたしが転校してきたせいで、色々な人の人生を狂わせてしまっている。



「はあ...」


「何、溜め息ついてんだよ」



えっ...。


もしかして、この声は...。



「りんご、買ってきた。いつも練習に付き合ってもらってるから、今日はおれが付き合う」



どうしてなんだろう。


来てほしいと心の中で願ってしまうのは、


どんな時も、


誰よりも、


例外なく、


青柳くんなんだ。
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