嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
わたしはびっくりして振り返ると、真剣な目でじっとこちらを見つめていた。
「あの...何か?」
「何か、じゃねえよ」
「へ?」
「人に心配させといて、とぼけんのもいい加減にしろ」
心配...してくれてる、の?
青柳くんが腕を離す。
わたしは離された腕に残った熱を感じながら、青柳くんの目を見つめた。
「あの...その...わたし...」
「星名が元気ねえことくらいわかんだよ!
毎日毎日、うぜえくらい一緒に練習して、一緒に飯食って会話して...。お前が元気無かったらオレだってどうしていいか分かんないんだよ!
オレの恋の相手役なんだろ?
だったら...オレが好きな顔くらいしてくれよ!
自分から名乗りをあげてやってるくせに、中途半端なことすんな!」
「...ごめん...なさい」
わたしの目から涙がこぼれ、固いコンクリートに落ちていった。
悲しいんじゃない。
苦しいんだ。
苦しいんだ。
痛くて
痛くて
たまらないんだ。
胸の奥が締め付けられて、
苦しくて苦しくて
呼吸が出来なくなる。
目を閉じても、
耳を塞いでも、
膝を抱えてしゃがんでも、
痛みは消えない。
苦しいのも変わらない。
痛みも苦しみも、
何に起因しているのか
分かるようで分からなくて、
青柳くんに責められたから、
青柳くんを怒らせたから、
ただそれだけ、
今のこの状況だけでこの感情が生まれているのか分からない。
分からなくて
どうしようもなくて
どうしようもないくらい苦しくて
泣いている。
「星名」
青柳くんがわたしの名前を呼んで...
わたしを抱き締めた。
「青柳くん...わたし、青柳くんには、もう...」
「頼りたくない。そう言いたいんだろ」
わたしは青柳くんの胸の中でこくりと頷く。
「本当は、殴りてえくらいムカつくけど、女だから止めておく。
前にも言ったけどな、オレには責任がある。お前に過去を背負わせたっつう責任が。
だから、抱えるな。1人で背負うな。頼っていいんだよ。
そして必要な心配は...させてくれ。
...友だちとして」
わたしは青柳くんの腰にしがみついて泣いた。
大声をあげて、泣いた。
「腹へったなぁ。飯、食べたいなあ」
青柳くんの大きな独り言はスルーさせてもらった。
「青柳くん...ありがとうございます」
わたしはお礼を言って笑った。
そしたら青柳くんが
「それが正解」
といい、わたしを開放し、そそくさと中に入っていった。
わたしも後に続き、お父さんが用意してくれたカツカレーを頬張りながら色々話をした。
いつか話さなければならないわたしの過去。
それを話す時はそう遠くない未来だと思った。
わたしが青柳くんを大切に思えば、きちんと青柳くんがわたしの想いを受け止めてくれると確信した。
わたしは...1人じゃない。
大丈夫。
きっと大丈夫。
前に踏み出そう。
その夜、りんごのように真ん丸な月が美しく輝いていた。
「あの...何か?」
「何か、じゃねえよ」
「へ?」
「人に心配させといて、とぼけんのもいい加減にしろ」
心配...してくれてる、の?
青柳くんが腕を離す。
わたしは離された腕に残った熱を感じながら、青柳くんの目を見つめた。
「あの...その...わたし...」
「星名が元気ねえことくらいわかんだよ!
毎日毎日、うぜえくらい一緒に練習して、一緒に飯食って会話して...。お前が元気無かったらオレだってどうしていいか分かんないんだよ!
オレの恋の相手役なんだろ?
だったら...オレが好きな顔くらいしてくれよ!
自分から名乗りをあげてやってるくせに、中途半端なことすんな!」
「...ごめん...なさい」
わたしの目から涙がこぼれ、固いコンクリートに落ちていった。
悲しいんじゃない。
苦しいんだ。
苦しいんだ。
痛くて
痛くて
たまらないんだ。
胸の奥が締め付けられて、
苦しくて苦しくて
呼吸が出来なくなる。
目を閉じても、
耳を塞いでも、
膝を抱えてしゃがんでも、
痛みは消えない。
苦しいのも変わらない。
痛みも苦しみも、
何に起因しているのか
分かるようで分からなくて、
青柳くんに責められたから、
青柳くんを怒らせたから、
ただそれだけ、
今のこの状況だけでこの感情が生まれているのか分からない。
分からなくて
どうしようもなくて
どうしようもないくらい苦しくて
泣いている。
「星名」
青柳くんがわたしの名前を呼んで...
わたしを抱き締めた。
「青柳くん...わたし、青柳くんには、もう...」
「頼りたくない。そう言いたいんだろ」
わたしは青柳くんの胸の中でこくりと頷く。
「本当は、殴りてえくらいムカつくけど、女だから止めておく。
前にも言ったけどな、オレには責任がある。お前に過去を背負わせたっつう責任が。
だから、抱えるな。1人で背負うな。頼っていいんだよ。
そして必要な心配は...させてくれ。
...友だちとして」
わたしは青柳くんの腰にしがみついて泣いた。
大声をあげて、泣いた。
「腹へったなぁ。飯、食べたいなあ」
青柳くんの大きな独り言はスルーさせてもらった。
「青柳くん...ありがとうございます」
わたしはお礼を言って笑った。
そしたら青柳くんが
「それが正解」
といい、わたしを開放し、そそくさと中に入っていった。
わたしも後に続き、お父さんが用意してくれたカツカレーを頬張りながら色々話をした。
いつか話さなければならないわたしの過去。
それを話す時はそう遠くない未来だと思った。
わたしが青柳くんを大切に思えば、きちんと青柳くんがわたしの想いを受け止めてくれると確信した。
わたしは...1人じゃない。
大丈夫。
きっと大丈夫。
前に踏み出そう。
その夜、りんごのように真ん丸な月が美しく輝いていた。