嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
懐中電灯1本のみで再び歩き出す。


時々、影から物音が聞こえたり、機械の音がピーピー鳴ったりしたが、さほど怖くも面白くもなかった。


なんとなく話題も尽きて、ゴールも近付いてきた時に、わたしはふと明日のミスコンのことを思い出した。


わざわざ鍵を壊してロッカーから取り出してきたのか、今朝はハチマキとエプロンがごみ箱に捨てられていた。


制服が無くなったり、弁当が雑巾の入ったバケツの中で浮いていたり、とにかくいろんなことをされてきた。


もしかしたら、明日...。


明日わたしは、犯人に殺されかけるかもしれない。


そんな悪い予感がしていた。


青柳くんに頼るのはよくないと思う。


でも、あの日、青柳くんは言ってくれた。


―――必要な心配はさせてほしい。...友だちとして。


だったら、頼ってもいいかな。


迷惑じゃないかな。


わたしが何かあったら助けてほしい。


そんなことを言うのはずるいかな。


わたしはお化け屋敷よりも明日が来るのが怖い。


もう耐えられそうにないから、言います。


お願いです。


許して下さい。


助けて下さい。



「青柳くん」



青柳くんが振り返り、わたしを見る。



「あの...わたし...実は...」



わたしが言いかけたその時。



「待ってたぞーーー!!」


「お前たちも地獄に連れていってやる!」



最後のお化けが襲って来た。


これを逃げ切ったら終了だ。


終わってしまう...。


やっぱり、わたしは1人でなんとかするしかないんだな。


泣きそうになると、青柳くんが左腕を掴んだ。


そのまま全速力で出口へと駆けていく。


わたしは、高鳴る胸の奥の恐怖に蓋をした。


明日は、なんとかしよう。


このお化け屋敷みたいにゴールはあるんだから。


そして、


青柳くんは助けに来てくれる、必ず。


ちゃんと助け出してくれる。


そう、信じる。
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