嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
ステージには水槽が8個置かれた。


わたしは4番だから、ちょうどど真ん中でやらなくてはならない。


もともとすっぴんだから、化粧が落ちることは無くて変な心配はしなくていいけど、わたし以外の皆様は、きっと嫌なんだろうなと思う。


たしか...うぉーたーぷるーふ?


汗にも強くて落ちにくいですっていう化粧品も売ってるらしい。


皆様はおそらくそれを使ってらっしゃるのでしょう。



「星名さん、始めますよ!」


「あっ、はい!すみません!」



急いで水面に顔を近付ける。



「では、位置に着いて...よーい、スタート!」



運動会でよく流れるあの曲が流れ出す。


煽られるけれど、平常心で臨めば大丈夫だ。


確か、1つに的を絞って、前歯でがっと掴むんだったよね。


青柳くんに教わったんだ。


たぶん、もう、


関わることは無い。


だからこそ、


最後くらい、がんばろう。



わたしは1番真ん中に浮いていたりんごに噛みついた。


1回では無理で、もう1度チャレンジする。


よし!


やるぞ!


前歯をビーバーのように出して一気に...がぶっ!


よし、いった!


わたしは右手を高々と挙げた。



「はい!星名選手、りんご獲得!記録は...15秒!」



ということで、戦いは終了しました。


あとは、ドレスを着て華やかに歩くだけだ。


この苦行に比べたらどうってことない。



そう、思っていた。
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