嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
誰もいない廊下を渡り、気が付けば保健室の前にいた。


アイツが逃げ出していなければ、まだここにいるはずだ。


オレがドアに手を掛けた時、中から声が聞こえてきた。


オレは気づかれないようにしゃがんで耳をドアにくっつけた。


声の主はどうやら星名とその担任の女教諭のようだった。



「じゃあ、星名さんは黒い布を被せられたから犯人の顔は見ていない、と」


「はい、残念ながら」


「じゃあ、犯人の声に心当たりは?"ざまあみろ"って言われたんでしょう?」


「全く見当もつきません」


「星名さん。もしかして、誰かを庇ってるんじゃありませんか?」



星名は黙りこんだ。


つまり、図星なのだ。


だったら星名は誰を庇ってる?



「星名さんが黙っていても、園田さんに言われてから最新鋭の防犯カメラを設置しましたから、写り込んでいる可能性は十分にありますよ」


「それって、生徒会室や用具室にもあるんですか?」


「もちろんよ。用具室に関しては盗難が多発した数年前から設置してあるわ」



先生のその発言の直後、星名は泣き出した。


さっきも泣いたのに、また泣くのか。


どんだけ泣けば気が済むんだよ。


つうか、オレまで悲しくなってくるじゃん。


止めてくれよ。


星名...


笑ってくれよ。



「星名さん、これはあなたのためでもあり、やった本人たちのためでもあるんです。ここできちんと更正していただかないと、この先もっと大変なことになるかもしれないんです。だから、言って下さい。...お願いします」


「わたしをいじめていたのは...」
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