嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
スマホがブーブー音を立てている。


出なくちゃなと思ってスマホを手に取り、画面を見て止めた。


この心境で聞ける声ではない。


むしろ...聞きたくない。


オレはオレが分からなくなっているし、オレは汐泉のことも分からなくなっている。


星名がいじめられていたという事実は変わらない。


だったら、いじめていたのが誰なのかは完膚なきまでに調べなければならないことだ。


しかし、そのいじめの犯人が自分のカノジョだと疑われている。


オレはどうしたらいいか分からない。


汐泉を100パーセント信じることが出来ない。


そして、ふと思う。


オレは汐泉の何を知ってるんだろう。


汐泉のどこが好きなんだろう。


なぜ付き合っているのだろう。


カノジョを信じてあげられない自分が情けない。


こういう時は、何を犠牲にしてでもカノジョの味方になり、守らなければならないのではないか。


さっきのだって、疑われていて不安になった汐泉が、オレに話を聞いてほしくて電話してきたのかもしれない。


それなら、今やるべきことはただひとつ。


オレは、スマホを手にし、電話帳を開く。


真砂汐泉を探す前に、目に入ってしまった文字。



―――星名湖杜。



オレは...


目を閉じて


タップした。
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