【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
『かまいません』
『俺がかまう。きみは冒険なんてする必要はない』
あーーーー!!
やっぱり、引出しを開けたときスイッチを入れたんだ!
「止めて下さい!」
「どうして? もう一度聞きたいんだが」
にやにやしている彼からスマホを奪い取った。私の声がなにか言っているのを、迷わず再生停止する。ついでにアプリも閉じておいた。
「……あのとき、妙に口数が少ないなと思ったんです」
「さすが、気づいてたか」
「カットしておきますね、この部分は不要でしょうし」
「やめてくれ、冗談じゃない。折に触れ、一生聴き返そうと思ってるんだ」
「冗談じゃないのはこっちです!」
悲鳴をあげながらも、“一生”という言葉に反応している自分がいる。
一生……、一生? 私の声を?
彼が手を差し出した。そう普通に出られては、おとなしく返すほかなく、スマホをその手にのせる。
「俺もきみが好きだよ、花恋」
私を見つめ、彼が微笑んだ。
「ちょっと、考えられないほど好きだ」
「一臣さん……」
涙が浮かんでくる。
感動と恥ずかしさで真っ赤であろう顔を、手でこすった。
ありがとうございます、一臣さん。私も。私もです。
自分の中に、こんな感情があったなんて、信じられないくらい。
「ここでする話じゃなかったな」
頬杖をつき、彼が苦笑いをする。ガラスの向こうでは、業務が始まっている。
私も苦笑した。
「ですね」
「続きはまた今度、近いうちに。ごちそうさま」
続きがあるんですね、私たち。
もう一度、道の上に戻ったんですね。
「はい」
私はカップを引き取り、自席に戻った。
日射しで温まった椅子に、もう夏が近いことを感じた。
『俺がかまう。きみは冒険なんてする必要はない』
あーーーー!!
やっぱり、引出しを開けたときスイッチを入れたんだ!
「止めて下さい!」
「どうして? もう一度聞きたいんだが」
にやにやしている彼からスマホを奪い取った。私の声がなにか言っているのを、迷わず再生停止する。ついでにアプリも閉じておいた。
「……あのとき、妙に口数が少ないなと思ったんです」
「さすが、気づいてたか」
「カットしておきますね、この部分は不要でしょうし」
「やめてくれ、冗談じゃない。折に触れ、一生聴き返そうと思ってるんだ」
「冗談じゃないのはこっちです!」
悲鳴をあげながらも、“一生”という言葉に反応している自分がいる。
一生……、一生? 私の声を?
彼が手を差し出した。そう普通に出られては、おとなしく返すほかなく、スマホをその手にのせる。
「俺もきみが好きだよ、花恋」
私を見つめ、彼が微笑んだ。
「ちょっと、考えられないほど好きだ」
「一臣さん……」
涙が浮かんでくる。
感動と恥ずかしさで真っ赤であろう顔を、手でこすった。
ありがとうございます、一臣さん。私も。私もです。
自分の中に、こんな感情があったなんて、信じられないくらい。
「ここでする話じゃなかったな」
頬杖をつき、彼が苦笑いをする。ガラスの向こうでは、業務が始まっている。
私も苦笑した。
「ですね」
「続きはまた今度、近いうちに。ごちそうさま」
続きがあるんですね、私たち。
もう一度、道の上に戻ったんですね。
「はい」
私はカップを引き取り、自席に戻った。
日射しで温まった椅子に、もう夏が近いことを感じた。