【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「代わりにプラザの運営がテックに移管される」
「なるほど」
あきらかに、彼がまだなにかおもしろい情報を隠し持っている表情だったので、続きを待つ。一臣さんはじつに満足そうに、にやっとした。
「責任者は刈宿さんにするつもりだ」
唖然として彼を見つめ返した。
「意地が……」
「悪いのは承知だ。だがこれこそ適材適所だとも思ってる。彼はなにもかもが俺の気に障るが、目標に向けて企画を遂行する力は抜群にある。手段を選ばないあこぎなところも含めてね」
ちょこちょこ言葉選びにトゲを感じるものの、まあ彼がされたことを思えばしかたない。
それにしても、似たアイデアをプラザにつぶされ、原案者に仕返ししようとして失敗し、挙句その人からプラザの責任者に任命されるとは、なんたる皮肉。
「刈宿さん、引き受けるでしょうか」
「賭けてもいい、引き受けるよ。同時にテックのCOOになるんだから」
昇進させる気か!
「甘すぎませんか?」
「さっきも言ったとおり、適材適所だ。俺はもとから、後任には彼をと思ってた。彼のことだ、プライドを賭けて、俺より評価されるCOOを目指すだろう」
たしかにそうかもしれない。
一臣さんのことだ、ただの恩情でこんなことはしないだろう。刈宿さんが二度と暴走しないという勝算があるのだ。
「本体の副社長は……」
「変わりない。不祥事でも起こさないかぎり、任期をまっとうするだろう」
ただし、と何食わぬ顔で彼が続ける。
「あの録音データを副社長に差しあげた。いつでもばらまく用意があるとお伝えしたうえでね」
やっぱり。
「でも、その効力は使わないんですね?」
「切り札は、とっておくから切り札なんだよ」
あくどい……!
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