【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
駅ビルの中のイタリアンレストランは、近隣のオフィスビルから押し寄せたビジネスマンたちでいっぱいだ。
男女問わず、ことごとくネックストラップをつけており、女性はスマートフォンと財布を重ねてテーブルの端に置いている。
習慣というのはここまで均質化するものかと、周囲を見回すと驚くことが多い。
「引っ越しはいつごろするのがお邪魔じゃないでしょうか?」
「いつでもいい。鍵を渡すから、自由に出入りしてくれ」
そう言うと諏訪さんは上着の胸ポケットから鍵を取り出し、テーブルに置いた。
ワンルームの賃貸マンションとは、質感からして格の違う鍵だ。
いつでもいいと言われると、案外基準がなくて困る。本人が言うからには、実際いつでもいいんだろう。
「では、月末の土曜日に引っ越します。今日の帰りに、部屋を見せていただいてもいいですか?」
「もちろん。俺も時間が合えば一緒に帰るが、おそらくまだ仕事だな」
「おかまいなく。勝手に上がらせていただきます。どこもさわりませんので」
「さわってもいいよ。というか俺はたぶんさわられても気づかない。きみの部屋は廊下の一番手前のドアだ。8畳だったかな」
じゅうぶんすぎる。というか今より広い。
「ベッドや大きな家具は置いていこうと思いますが……寝具などを注文して、そちらのマンション宛てに送ってもかまいませんか? 受け取りはしますので」
「好きなだけ送ってくれ。先に断っておくと、俺は夜型なんだ。深夜までリビングにいたり、気が向いたらコンビニに行ったりする。気になるかもしれないが、これは慣れてほしい」
「問題ないと思います。私もわりと夜型ですし、一度寝てしまえば人のたてる物音はまったく気になりません」
常に時間に追われているため、諏訪さんの食事は速い。みるみるうちにパスタを片づけていた彼が、食べる手を止めた。
「だれかと暮らすのは、はじめてじゃない?」
私はぽかんとし、一瞬考えてから、問われた意味を理解した。なぜか熱くなってくる顔を、うつむいて隠す。
男女問わず、ことごとくネックストラップをつけており、女性はスマートフォンと財布を重ねてテーブルの端に置いている。
習慣というのはここまで均質化するものかと、周囲を見回すと驚くことが多い。
「引っ越しはいつごろするのがお邪魔じゃないでしょうか?」
「いつでもいい。鍵を渡すから、自由に出入りしてくれ」
そう言うと諏訪さんは上着の胸ポケットから鍵を取り出し、テーブルに置いた。
ワンルームの賃貸マンションとは、質感からして格の違う鍵だ。
いつでもいいと言われると、案外基準がなくて困る。本人が言うからには、実際いつでもいいんだろう。
「では、月末の土曜日に引っ越します。今日の帰りに、部屋を見せていただいてもいいですか?」
「もちろん。俺も時間が合えば一緒に帰るが、おそらくまだ仕事だな」
「おかまいなく。勝手に上がらせていただきます。どこもさわりませんので」
「さわってもいいよ。というか俺はたぶんさわられても気づかない。きみの部屋は廊下の一番手前のドアだ。8畳だったかな」
じゅうぶんすぎる。というか今より広い。
「ベッドや大きな家具は置いていこうと思いますが……寝具などを注文して、そちらのマンション宛てに送ってもかまいませんか? 受け取りはしますので」
「好きなだけ送ってくれ。先に断っておくと、俺は夜型なんだ。深夜までリビングにいたり、気が向いたらコンビニに行ったりする。気になるかもしれないが、これは慣れてほしい」
「問題ないと思います。私もわりと夜型ですし、一度寝てしまえば人のたてる物音はまったく気になりません」
常に時間に追われているため、諏訪さんの食事は速い。みるみるうちにパスタを片づけていた彼が、食べる手を止めた。
「だれかと暮らすのは、はじめてじゃない?」
私はぽかんとし、一瞬考えてから、問われた意味を理解した。なぜか熱くなってくる顔を、うつむいて隠す。