【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「すみません、実家にいたころの話です。母が完全な夜型で」
「なるほど」
「諏訪さんは、何度目ですか?」
ゴフ、とむせる音がした。かろうじて吹き出す手前でとどめた諏訪さんが、ナプキンで口の周りを拭う。
「結婚を、まあ口約束とはいえ一応誓った間柄で、セクハラだなんだと言わないでほしいんだが」
「はあ」
「きみ、彼氏がいた経験、あまりないだろ」
なにを今さらそんな、わかりきったことを。
「はい。皆無です」
「忠告しておくよ。過度な自己評価の低さは、認知を歪ませる」
なるほど……?
いや、なるほどではない。ちょっとよくわからない。パスタを巻き取りながら、視線をあちこちに向け、答えをさがしてみるものの、見つからなかった。
「どういうことでしょう?」
「俺はきみが思うほど、酒池肉林の人生を歩んではいないってことだ」
「わかりました。イメージを修正しておきます」
彼が不安そうな、怪訝そうな、なんともいえない顔で私を見つめる。
「……仕事はできるのにな?」
「私のことですか?」
恐れ入ります、と口をもぐもぐさせながらではあったものの、頭を下げた。
なぜか深いため息が返ってきた。
どうしよう、生活水準が上がってしまう。
その日の夜、諏訪さんのマンションの、私の生活空間になる予定の部屋の壁際に座りこみ、私は怯んでいた。
想像以上に快適そうなマンションだった。
エントランスロビーは間接照明でシティホテルのような雰囲気だし、コンシェルジュは常駐しているし、地上6階建てというこぢんまりした外観におやっと思ったら、中に入ってびっくり、緑あふれる中庭がマンション内にあるのだ!
ちなみに地下にも1階ぶんの住居エリアと、さらにその下に駐車場がある。
「なるほど」
「諏訪さんは、何度目ですか?」
ゴフ、とむせる音がした。かろうじて吹き出す手前でとどめた諏訪さんが、ナプキンで口の周りを拭う。
「結婚を、まあ口約束とはいえ一応誓った間柄で、セクハラだなんだと言わないでほしいんだが」
「はあ」
「きみ、彼氏がいた経験、あまりないだろ」
なにを今さらそんな、わかりきったことを。
「はい。皆無です」
「忠告しておくよ。過度な自己評価の低さは、認知を歪ませる」
なるほど……?
いや、なるほどではない。ちょっとよくわからない。パスタを巻き取りながら、視線をあちこちに向け、答えをさがしてみるものの、見つからなかった。
「どういうことでしょう?」
「俺はきみが思うほど、酒池肉林の人生を歩んではいないってことだ」
「わかりました。イメージを修正しておきます」
彼が不安そうな、怪訝そうな、なんともいえない顔で私を見つめる。
「……仕事はできるのにな?」
「私のことですか?」
恐れ入ります、と口をもぐもぐさせながらではあったものの、頭を下げた。
なぜか深いため息が返ってきた。
どうしよう、生活水準が上がってしまう。
その日の夜、諏訪さんのマンションの、私の生活空間になる予定の部屋の壁際に座りこみ、私は怯んでいた。
想像以上に快適そうなマンションだった。
エントランスロビーは間接照明でシティホテルのような雰囲気だし、コンシェルジュは常駐しているし、地上6階建てというこぢんまりした外観におやっと思ったら、中に入ってびっくり、緑あふれる中庭がマンション内にあるのだ!
ちなみに地下にも1階ぶんの住居エリアと、さらにその下に駐車場がある。