【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「カーテンを閉めるのを忘れてた。というかいつも閉めないんだが。きみが来るなら気をつけないとな」
「こちら側、坂なんですね?」
「そうなんだよ。建物の外観的に、景色は望めないのかなと思うだろ? けっこういいんだ、これが」
駅から歩いてくるとわからないけれど、この建物は斜面に建っているのだ。エントランスからは中庭を見下ろしながら玄関まで歩き、部屋に入ればこの夜景。
「いいお住まいですね」
「ありがとう。きみも住むんだけどね。最後、ここが俺の書斎、兼寝室」
諏訪さんがリビングの左手にあるドアを開けた。そこは、例えるならリッチなホテルの客室のような雰囲気だった。
明るいグレーのカーペット、大きなベッドにゆったりしたデスク。スリムな本棚。
奥の壁は落ち着いたグレーのカーテンで覆われている。リビングのバルコニーはこの部屋まで続いているらしい。
のぞいてみて気づいた。荷ほどき前の段ボールがあるわけでもないのに、家の中はどこも“引っ越したばかり”という空気が漂っていたのだ。
その理由がわかった。
「この部屋だけ、諏訪さんの匂いがします」
デスクの足元に鞄を置き、上着を脱いでいた諏訪さんが、ぱっとこちらを向く。
「……そう?」
「はい。あ、私、家具の注文を済ませてしまいたいので、部屋に戻らせていただきますね。終わり次第失礼しますので、おくつろぎください」
私は一礼し、リビングを経由して部屋に戻った。
リビングと諏訪さんの寝室が隣りあっているということは、諏訪さんが眠る時間にはキッチンやリビングは使わないほうがいいということだ。
テレビも自室に置いたほうがいいか。あまり見ないけれど、ないのも心もとない。テレビ台と一緒に今の部屋から持ってこよう。
あれこれ思案しながら、さらに30分ほど住居計画を立てるのに没頭し、あらかた済んだので帰ることにした。
廊下に出てリビングをのぞいたところ、諏訪さんがいる気配はない。
“モメント”を起動し、諏訪さんにメッセージを送った。
【計測が終わりましたので失礼します。お邪魔しました】
「こちら側、坂なんですね?」
「そうなんだよ。建物の外観的に、景色は望めないのかなと思うだろ? けっこういいんだ、これが」
駅から歩いてくるとわからないけれど、この建物は斜面に建っているのだ。エントランスからは中庭を見下ろしながら玄関まで歩き、部屋に入ればこの夜景。
「いいお住まいですね」
「ありがとう。きみも住むんだけどね。最後、ここが俺の書斎、兼寝室」
諏訪さんがリビングの左手にあるドアを開けた。そこは、例えるならリッチなホテルの客室のような雰囲気だった。
明るいグレーのカーペット、大きなベッドにゆったりしたデスク。スリムな本棚。
奥の壁は落ち着いたグレーのカーテンで覆われている。リビングのバルコニーはこの部屋まで続いているらしい。
のぞいてみて気づいた。荷ほどき前の段ボールがあるわけでもないのに、家の中はどこも“引っ越したばかり”という空気が漂っていたのだ。
その理由がわかった。
「この部屋だけ、諏訪さんの匂いがします」
デスクの足元に鞄を置き、上着を脱いでいた諏訪さんが、ぱっとこちらを向く。
「……そう?」
「はい。あ、私、家具の注文を済ませてしまいたいので、部屋に戻らせていただきますね。終わり次第失礼しますので、おくつろぎください」
私は一礼し、リビングを経由して部屋に戻った。
リビングと諏訪さんの寝室が隣りあっているということは、諏訪さんが眠る時間にはキッチンやリビングは使わないほうがいいということだ。
テレビも自室に置いたほうがいいか。あまり見ないけれど、ないのも心もとない。テレビ台と一緒に今の部屋から持ってこよう。
あれこれ思案しながら、さらに30分ほど住居計画を立てるのに没頭し、あらかた済んだので帰ることにした。
廊下に出てリビングをのぞいたところ、諏訪さんがいる気配はない。
“モメント”を起動し、諏訪さんにメッセージを送った。
【計測が終わりましたので失礼します。お邪魔しました】