【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
すぐに廊下に出て応答し、指定の業者であることを確認して、業者用エントランスのロックを解除する。やりかたはすでに諏訪さんから教わり済みだ。
業者さんが館内に入ったのをモニタで見届け、そのまま廊下で荷物を待つことにした。するとリビングから諏訪さんが出てきた。
ぎょっとして、寄りかかっていた壁から身体を起こす。
「すみません、お騒がせしまして」
「いや。さっきの朝食代、送金しておいたから確認して」
私はスマホをチェックした。モメントには姉妹アプリがいくつもあり、その中でもテックが開発と運営を受け持つ決済サービス用アプリは、グループの収益を支える屋台骨だ。
他社の類似サービスとは比べ物にならない加盟店数、ユーザー数を持ち、アプリ間での送金額も爆発的に伸びている。社内からは現金が消えた。
私は受取額を確認し、眉をひそめた。
「……こんなにしませんでした」
「駄賃と思って受け取ればいい」
むしろこれからお世話になるんだし、差し入れのようなつもりでいたのに……。
送金し直すのも失礼かと思い、そのままいただくことにする。経費ではなく、個人間での金銭のやりとりを彼とするのは、そういえばはじめてかもしれない。
ふと不思議に思った。彼はなぜこの廊下で私と一緒にいるんだろう?
「あの……」
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。私より先に諏訪さんが動いた。
「お待たせしました! お荷物、数点ございますが、どちらに置きましょうか?」
「俺が受け取ります」
「承知しました!」
ユニフォームを着た元気なお兄さんが、ポーチの外の台車のもとへ駆け戻る。諏訪さんはドアを全開にし、ストッパーで留めた。
あれよあれよという間に、家具や寝具、ラグなどが梱包されたまま私の部屋へ運びこまれた。なにかしたかったのだけれど、手を出す隙がなかった。
そのころになってようやく、私は自分の危機を自覚した。
まさか今後、この部屋に、彼が立ち入る可能性がある?
てっきり大家と店子のような感じで、この部屋は独立した空間なのだと思っていた。そんなわけじゃないか、浮かれすぎだ、バカ!
諏訪さんは部屋の中央に立ち、周囲の荷物を見回す。
業者さんが館内に入ったのをモニタで見届け、そのまま廊下で荷物を待つことにした。するとリビングから諏訪さんが出てきた。
ぎょっとして、寄りかかっていた壁から身体を起こす。
「すみません、お騒がせしまして」
「いや。さっきの朝食代、送金しておいたから確認して」
私はスマホをチェックした。モメントには姉妹アプリがいくつもあり、その中でもテックが開発と運営を受け持つ決済サービス用アプリは、グループの収益を支える屋台骨だ。
他社の類似サービスとは比べ物にならない加盟店数、ユーザー数を持ち、アプリ間での送金額も爆発的に伸びている。社内からは現金が消えた。
私は受取額を確認し、眉をひそめた。
「……こんなにしませんでした」
「駄賃と思って受け取ればいい」
むしろこれからお世話になるんだし、差し入れのようなつもりでいたのに……。
送金し直すのも失礼かと思い、そのままいただくことにする。経費ではなく、個人間での金銭のやりとりを彼とするのは、そういえばはじめてかもしれない。
ふと不思議に思った。彼はなぜこの廊下で私と一緒にいるんだろう?
「あの……」
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。私より先に諏訪さんが動いた。
「お待たせしました! お荷物、数点ございますが、どちらに置きましょうか?」
「俺が受け取ります」
「承知しました!」
ユニフォームを着た元気なお兄さんが、ポーチの外の台車のもとへ駆け戻る。諏訪さんはドアを全開にし、ストッパーで留めた。
あれよあれよという間に、家具や寝具、ラグなどが梱包されたまま私の部屋へ運びこまれた。なにかしたかったのだけれど、手を出す隙がなかった。
そのころになってようやく、私は自分の危機を自覚した。
まさか今後、この部屋に、彼が立ち入る可能性がある?
てっきり大家と店子のような感じで、この部屋は独立した空間なのだと思っていた。そんなわけじゃないか、浮かれすぎだ、バカ!
諏訪さんは部屋の中央に立ち、周囲の荷物を見回す。