【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
さらに電話の相手に二言三言伝えて、彼は通話を終えた。
「人員の2割が、最終日を待たずに目標件数を達成する見込みだそうです。契約どおり、該当スタッフはその時点で契約満了とし、解放します」
「了解した。残りの日数の報酬は支払わなくていいとのことだったが……いったい彼らはどういう信条で働いているんだろう?」
「早く切り上げれば、それだけ早く次の仕事に移れる。今の仕事のほうが条件がよければ、予定日数をフルに使いきればいいだけの話です」
「決して楽な目標を課していたつもりはないが……それで2割はすごいね」
「そういう集団なんですよ」
だから日給制だったのか、と私は今ごろ納得した。
こちらも費用の管理がややこしくなるものの、追加予算の額が下がるに越したことはない。
「なんと頼もしい。諏訪くん、きみのおかげだ、ありがとう」
「刈宿さんの研修もすばらしかったですよ。商品知識が彼らの武器だ。彼らを武装させたのは刈宿さんです」
「うん、それはそうだね。安心したから、お茶でもいれてこよう」
臆面もなく称賛をすべて受け取り、フロアを出ていくCMOを横目に、一臣さんが小さく舌打ちした。
ガラスエリア内にふたりきりになり、私たちはなんとなく顔を見あわせる。
「……今日も遅くなりそうですね」
「うん」
今回攻めこむと決めた地域には、深夜営業の店も多い。そういうところに対応するため、人員の1割ほどを夜間組として動かしている。
司令塔であるテックは、文字どおり不眠不休となる。
「一臣さんも休憩しませんか? 母がおいしい紅茶の葉をくれたんです」
「そういえば、お母さんには俺たちのこと、もう報告した?」
「いえ、まだ……」
私はデスクの引き出しから、小分けにして持ってきた茶葉を取り出した。
「一臣さんは?」
「そろそろしようと思ってる。まあこの騒動が終わってからにはなるが」
「お会いになるんですか?」
一臣さんは、会社でマグカップなどの食器を使うのを好まない。なにかを飲むときも使い捨てのカップを使う。
「人員の2割が、最終日を待たずに目標件数を達成する見込みだそうです。契約どおり、該当スタッフはその時点で契約満了とし、解放します」
「了解した。残りの日数の報酬は支払わなくていいとのことだったが……いったい彼らはどういう信条で働いているんだろう?」
「早く切り上げれば、それだけ早く次の仕事に移れる。今の仕事のほうが条件がよければ、予定日数をフルに使いきればいいだけの話です」
「決して楽な目標を課していたつもりはないが……それで2割はすごいね」
「そういう集団なんですよ」
だから日給制だったのか、と私は今ごろ納得した。
こちらも費用の管理がややこしくなるものの、追加予算の額が下がるに越したことはない。
「なんと頼もしい。諏訪くん、きみのおかげだ、ありがとう」
「刈宿さんの研修もすばらしかったですよ。商品知識が彼らの武器だ。彼らを武装させたのは刈宿さんです」
「うん、それはそうだね。安心したから、お茶でもいれてこよう」
臆面もなく称賛をすべて受け取り、フロアを出ていくCMOを横目に、一臣さんが小さく舌打ちした。
ガラスエリア内にふたりきりになり、私たちはなんとなく顔を見あわせる。
「……今日も遅くなりそうですね」
「うん」
今回攻めこむと決めた地域には、深夜営業の店も多い。そういうところに対応するため、人員の1割ほどを夜間組として動かしている。
司令塔であるテックは、文字どおり不眠不休となる。
「一臣さんも休憩しませんか? 母がおいしい紅茶の葉をくれたんです」
「そういえば、お母さんには俺たちのこと、もう報告した?」
「いえ、まだ……」
私はデスクの引き出しから、小分けにして持ってきた茶葉を取り出した。
「一臣さんは?」
「そろそろしようと思ってる。まあこの騒動が終わってからにはなるが」
「お会いになるんですか?」
一臣さんは、会社でマグカップなどの食器を使うのを好まない。なにかを飲むときも使い捨てのカップを使う。