【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「きみはそう言いだすだろうと思ってた」
「ごめんなさい……」
「いや。このままでいられるわけはなかったんだ。俺のほうがふんぎりがつかなかった。だめだな」
泣き濡れた顔を手で覆い、首を振る。
一臣さんは両手で私を抱きしめ、子どもをあやすように、ぽんぽんと頭や背中を叩いた。母にもかつて、こうしてくれる相手がいたのだ。
「それでも、食事には誘うよ」
返事は声にならなかった。
記憶にあるかぎり、人前でこんなに泣いたことはない。
なにかが堰を切ったようにあふれて止まらない。
「泣かないでくれ、花恋」
彼の声も、いよいよ困ったようになり、背中をさする手にもあせりを感じる。
正直で、自由で、温かい一臣さん。
あなたと離れたくない。
ごちゃごちゃした感情の渦のなか、その気持ちだけが、はっきり読み取れた。
「ごめんなさい……」
「いや。このままでいられるわけはなかったんだ。俺のほうがふんぎりがつかなかった。だめだな」
泣き濡れた顔を手で覆い、首を振る。
一臣さんは両手で私を抱きしめ、子どもをあやすように、ぽんぽんと頭や背中を叩いた。母にもかつて、こうしてくれる相手がいたのだ。
「それでも、食事には誘うよ」
返事は声にならなかった。
記憶にあるかぎり、人前でこんなに泣いたことはない。
なにかが堰を切ったようにあふれて止まらない。
「泣かないでくれ、花恋」
彼の声も、いよいよ困ったようになり、背中をさする手にもあせりを感じる。
正直で、自由で、温かい一臣さん。
あなたと離れたくない。
ごちゃごちゃした感情の渦のなか、その気持ちだけが、はっきり読み取れた。