都 汚 染
「すみません、お客様。終点です」
無機質な声で目が覚めた。
見上げると、年配の駅員が迷惑そうな顔で私を見ている。
いつの間に眠ってしまったんだろう。
傍らに置きっ放しだった荷物をそそくさと纏めて、私は車両の外に出た。
海のある駅のホームに降り立つ。
息を吸うと潮の香りが体内に舞い込んで来て、慣れない感覚に少しだけ噎せ返ってしまった。
だけど、いい場所だなあと思ったのが第一印象。
もったいないとさえ思う。
私のような人間のクズが、人生の最期を迎えるには。
小さな命が宿る下腹部を撫で、私は歩き出した。