「悪」が似合わない君と。



すると急に黙って考え始めるトンボ

……?


「おいトンボ、急に黙り込んでなんだよ」


そういうと、勢いよく顔を上げて俺を睨みつける


「トンボじゃありません!!私は篠瀬美花です!しーのーせーみーはーなー!」


しのせみはな


それがこいつの名前

あの時聞けずに後悔した、名前


篠瀬美花





「で、あなたは?」


…え?


「あなたは誰ですか?普通相手が名乗ったら自分も名乗るでしょ?」


ああ…そうかコイツは俺のことを知らないのか


だから俺を軽蔑しなかった

じゃあ俺を知ったらどうなる?


別に…どうでもいいけど


「あ、あれ?違います?」


頭を抱え込んで自問自答を始めるトンボ


「いや、間違ってねぇよ」


確かにその通りだ


「…俺は、龍堂慧だ。よろしくなトンボ」


そうかっこよく言ったつもりだけど

少し身構えていた


もし俺の名前を知っていたら

コイツも他の奴らみたいに俺を…


急に黙り込んだトンボ
目を見開いて俺を見上げてる


やっぱり…


「なんだよ」


別に…いつものことだし

どう言われても…


「え、あ、いえ、リュードーケーって名前は知ってたけどなんかもっとゴジラみたいな人だと思ってたから」


…はぃ?


ご、ゴジラ?

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