「悪」が似合わない君と。
「おいトンボ」
「なんですか?」
カバンを片付けて席に着いた私に話しかけてきた
「お前、浜田と仲良いのか?」
浜田さん?
まああの一件で仲良くなったものだ
「まあそれなりに仲はいいと思います」
「ふーん、なんで」
な、なんで?
なんで?
え、なんでって
「リュードーさん喜ばせよう作戦からだいぶ打ち解けた感じですけど」
「ふーん。浜田って結構短気なイメージで誰とも打ち解けなさそうだったけど」
まあ、確かに第一印象はそんな感じでしたけど
「浜田さんは何だかんだ素直になれない不器用なだけでシンプルに優しい人だと思いますよ」
ちょっと子供っぽいとこもあるけどね
でもあの一件で見違えるほどカッコよくなり、かなり女の子から噂を聞くようになった
まああのルックスだしーモテそうだよなぁ
「そうか。なんかずっと俺を追いかけ回してるだけだと思ってたから」
…なんだ
心配してたんだ
浜田さんはリュードーさんのことすっごい好きだけど
何だかんだリュードーさんも浜田さんのこと好きなんだな
「なんか、似てますよね2人」
「は?」
「素直になれないとことか、結局は優しいだけのとことか」
リュードーさんは目をパチクリさせて私を見てたけど
ふいとそらしてため息をついた
「お前…さ、ほんとそういうとこ」
ん?
リュードーさんの顔はしっかり見えなかったけど
声はちょっと上ずってたなーなんて