「悪」が似合わない君と。



「はーい!篠瀬さんできましたー!」


わっと視線が集まる


リュードーさんもこちらをみた


「うわああああああっ!超可愛い!!やばい!」

「やっぱ顔綺麗すぎでしょ」

「客集まるだろうなこれ」


「こっちもできたよー!」

反対側のドアから武内くんが執事の格好をして出てきた

「うわ!かっけぇ!」

「やばい超好き」


なるがまま武内くんの隣に立たされる


「はい!と、まあこんな感じです!女子の表パートの人はこの服で、男子はこっちね!」


みんなの視線が集まる

んーなんだか新鮮

ん、なんか…すごい睨んでくる美優さん一名…

うん見なかったことにしよう


「篠瀬さんめっちゃハナに似てるよね」

「めっちゃ思ったそれ!美人すぎじゃない?」


えーめっちゃ褒めてくれる


「篠瀬さんって今彼氏いる?」


林くんの顔が近づいた


「ああー!林、ナンパしてるー!」

「うわー引くわー」

「篠瀬さんかわいそうぅ!」


ドッとクラスが笑いに包まれた

なんか…不思議な感じだな

今まではずっと眺める位置にいたけど

少し壁をなくしてみるだけでこんなにもなんか…

見てる世界が明るくなるなんてなぁ


「武内くん、スタイル良すぎだよね」

「それなぁ!」


話の中心が私から武内くんに移ったとき

騒いでいるクラスメイトの間から

なんの感情も読めないリュードーさん登場


え、なんか


こっち?来てる?


「篠瀬」


え、

え、いま、え?篠瀬って!?


「わっ!」


私の横を通り過ぎる瞬間手を掴まれてグッと引っ張られる

そのまま教室の外へ連れ出される


武内くんに集中しててなかなか私に気づかないクラスメイトの中で

林くんと目があった

「篠瀬」

名前を呼ばれた気がしたがそのまま教室を後にした
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