「悪」が似合わない君と。
「あ、あの!リュードーさん!?」
ひたすら私の手を引いてスタスタと歩いて行ってしまうリュードーさん
なんだ、どうしたというのだ
そのまま角を曲がり
ぐんっ!と下に引っ張られる
こ、これは
激しくデジャヴ
「あ、の…」
昨日とおんなじだ。
カイさん達を巻いたときと同じ体制
後ろから回される男らしい手と
リュードーさんの香り
「はあああああああっ」
ひえええええっ
唐突に激しく盛大なため息をこぼした
「な、なんですか?」
「お前ほんとさ…そういうの良くないと思う」
え、は?
「無理無理、ほんと無理、色々と。なんでさぁそういう格好しちゃうかな」
え、めっちゃ喋るんだけど
「あの、似合ってなかったですか?」
無理って言われて心配になった
正直林くんだとかそこらへんになんて言われようと気にしないけど…
リュードーさんには、似合ってるって思われたいな…なんて
恋って恐ろしいぜ
私の問いに反応を示さないリュードーさん
「…リュードーさん?」
リュードーさんの顔を見ようと振り向くと
「まっ!こっちみんな!」
えええええ
ぐんっと顔を戻される
「なんですか!?」
「いや、別に、あの、似合ってないわけじゃないけど」
なになんか陰キャみたいな話し方になってるけど
一度言葉を飲み込んでふぅと息をつくリュードーさん
「…うん。似合ってる…」
!!
ドキッていう効果音がしっかり聞こえるくらいはっきり
胸が高鳴ったのがわかった
「…」
なにも言えなくなってしまった
気のせいだろうか
バクバクなっている心臓は私のものだけじゃない気がする
背中から伝わるリュードーさんの熱
同じように心臓が動いているのだろうか