「悪」が似合わない君と。



たくさんの人が中庭に集まっている


結構本格的なランウェイ


演劇部がセットした照明が彩っているステージ


胸が高鳴る


何度も体験してきたけどこんなに燃えたことはない(神崎さんごめん)


『さあ始まりました!!ミスコンアンドミスターコン!!毎年ものすごい盛り上がりを見せるこの企画!!
今回もたくさんの美男美女たちが集まりました!!』


始まった!


『それでは一年生からスタートですこのランウェイを往復していただきます!もちろんポージングもお願いしますよぉ〜!』


音楽が流れ始めた


綺麗なドレスに身を包んだ女の子が歩きはじめる


会場はヒューヒューと盛り上がっている


早くも帰ってきて次の男の子がスタート


私たちの番は刻々と迫ってくる


「あ!龍堂くんいる!」

美優さんの声が聞こえた


思わず舞台裏の隙間から中庭を見る


リュードーさん、浜田さん、カイさんの3人がいた


変に緊張してきた


でも…美優さんには負けられない


「篠瀬さん…つ、次だよ」


武内くんがものすごく緊張している

すごくわかる

私も最初はそうだったもの


「武内くん」


武内くんの手を握った


「深呼吸して」

「う、うん」

「大丈夫!」

「スーハー…うん!」

武内くんは力強くうなずいた


「私の番ね」

美優さんが緊張している私たちを横目にランウェイに繰りでた


「みゆーー!」

「きゃー!」


騒がしい声が聞こえる


決めポーズではびっくりするくらいのブリッコポーズを決め戻ってくる

次に翔平くんが出る

次は武内くんだ

まだ少し緊張している武内くんの背中を叩いた


「頑張れ!」

「ありがとう、篠瀬さん!」


緊張している割にはすっきりとした笑顔で私を見た

そして武内くんが歩き出した

騒がしかった会場が違う意味でざわっとする


「え、やば」

「だれ?見たことない!」

「めっちゃかっこいい!」


武内くんは堂々としていた

真っ直ぐ前を見ている

リズムに合わせて歩き、シンプルなポーズを決め、戻ってくる

すごいさっきまでの緊張が嘘みたいだ

近づいてくる武内くん




次はついに…私の番だ



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